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2040年に向けた新たな地域医療構想の概要案をとりまとめた厚生労働省の専門家検討会=2024年12月10日、東京都千代田区

 85歳以上の高齢者が増加する2040年に向けて、厚生労働省は、高齢者の救急医療や在宅医療を担う医療機関を把握する方針を決めた。高齢者の救急搬送や在宅医療の需要は今後、大幅に増えるとみられており、対応できる医療機関が地域にどれだけあるか可視化することで、必要な医療を確保するねらいがある。

 27年度から順次取り組みを始める「新しい地域医療構想」の概要案に方針を盛り込み、専門家検討会が案を了承した。

 高齢者は、10日間ほど入院してベッドで安静に過ごすと、足の筋力が15%ほど落ちるとされる。病気は治っても、日常生活の動作(ADL)が低下して退院後の生活に支障をきたすことになり、入院早期からのリハビリが重要になる。

 だが、国内の医療機関には、治すことが専らの「急性期」のベッドが多く、リハビリなどで退院を支援する「回復期」のベッドが不足している。

 一方で、厚労省の予測では、20年と比べて、40年には85歳以上の高齢者の救急搬送が75%増加する。退院患者の受け皿になる在宅医療の需要も62%増える見込みだ。このため、高齢患者の急増に対応できる医療体制づくりが、喫緊の課題になっている。

 厚労省の新たな地域医療構想では、「治す」病院と「治し支える」病院に大きく区別する方針だ。治す病院では、医師を集約して、重症の患者や高度な手術が必要な患者の治療に専念する。治し支える病院は、一般の地域医療を担いつつ、高齢者の救急と早期リハビリなどを担う。

 こうした役割を明確にするた…

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